正直今回は苦戦と苦闘の日々だった。
 前作「PTSD*2」が終わったと思ったら数ヶ月で集客数900席を埋める作品を創らなければならない。
 かつてあった小劇場ブーム時期ならいざ知らず、ほとんどまだ駆け出しの小さなチームがたった4回目の公演でこの数字は驚異的である。
 いやむしろ、無謀な賭けであったのか。
 まぁ、すべて終わったからいえることなのだが、その驚異的な数字を埋めてくれた驚異的なPEACE MAKERのファン、驚異的なお客様にまずお礼をいいたい。

「本当にありがとうございました」


 あとがきとしてはこれで十分なのだが、このあとがきを楽しみにしていると言うめずらしい・・・いや 貴重な方々のためにもう少し文章をつづります。

 毎回違うジャンルの物語に挑戦していく我々だが、今回もアンケートや見たい作品の声などを参考にして散々議論した。
 その結果、私の中でやりたいものと皆さんの声とで「妖怪物」というのがぴったりマッチしたのだった。  初めは昔買い集めていた水木しげる著「鬼太郎入門」や「妖怪入門」の懐かしさがこみ上げ 楽しみで仕方なかったが、資料を集めるたびに血の気がどんどん引いていった。
 一口で妖怪といえども膨大な数の資料が目の前に積みあがっていった。
 これだけの中から核なるものをえらび、活かし、動かすのは並大抵の作業ではない。
 むろん今までで一番資料や調べ物、執筆に時間がかかったのは言うまでも無い。
 そんな中、やはり憧れの「鬼太郎」や「ねずみ男」を書きたいという意欲がどうしても納まらなかった。それ以前にねずみ男の構想は頭にあったのだが・・・。
 そんな時キャラクターを使う事を快く承諾してくださった水木先生、水木プロダクションの方々には 感謝してもしたりない。もし、許可が下りなければこの作品は無かったかもしれない、いや無いでしょう。 だから承諾が降りたときには本当に嬉しかった。
 嬉しいと私の中で眠っていた妖怪たちがどんどん動き始め、そして生きていった。
 しかし、構想はあったもののやはり人間と妖怪を結びつけ、どちらも生かすのは難しかった。
 そこで舞台を全ての生きとし生けるもののいるこの「地球」という星に移していった。
 全てが生きる大きくて小さな星、そこで起こる戦争が舞台だったからだ。
 そして完成したのがこの「もののけだもの 〜鬼太郎によろしく〜」である。
 ちょうど本読み時であるが「戦争」を舞台にした作品が完成するやいなや、本当の「戦争」が始まってしまった。
 そうならないようにメッセージ色を強めた作品だけにそのときは残念で仕方なかったのを覚えている。
 センチメンタルや感傷的なものは私はあまり好まない。だがこの物語は目に見えなくても存在するものは必ずいる。いなければ誰も知らないだろう、と思う私の心の一部であり現実的にそうあって欲しいと願う誰もが思う気持ちの現れであると思う。
 彼らからは人間の世界が見えても、私たちからはそれが見えない。
 でも、本当はそれが一番いいことかもしれない。
 人間は想像力をもてる唯一の動物である。
 彼らの世界は創造して楽しめる世界であり見えてしまえばこの世界となんら変わりなくなってしまうのが悔しいからである。


雨宮 冬眞


>>戻る