〜プライヴェート・オピニオン〜

あとがき
「誰にでも分かりやすく、共感できるサクセスストーリー」
「歳を経てきた今の自分が、身近に感じること」

が今回の、物語のコンセプトでした。

 「ニューヨークは薔薇色に」「タイタンズを忘れない」「ロケットボーイズ」「アルマゲドン」など、「さあ泣け」といわんばかりの作品に、私は泣いてしまいます。
分かっちゃいるけど、ジーンとする、先は読めても、感動がある。
そんな物語を作ろうと思いました。


 「PRIVATE OPINION」は、2001年新春にあがった企画でした。
 前回作とは、まったく違う、よりストレートなサクセスものを考えていた私は、ほかではなかなかできないものを求めてたどり着いたのが「ロックのライブと芝居を融合させる」企画でした。
 しかし、うちのような、弱小企画事務所には「まず無理かも」とも思っていました。
映画では、作ることが可能かもしれませんが、舞台でこの企画は、かなりの冒険であり、それを行うノウハウも持っていなかったからです。
そんな中、一番大きかったのは「アレン」役の山本忠生の存在でした。
ちょうど彼は、今までの仕事をやめて、オーストラリアに行くことを決めた段階でした。

 私は、
「今しかない」。
そう思い、彼に全編、オリジナルのロックを作詞・作曲をお願いしたところ、彼は、夏以降まではつづくであろう、24時間働く職場の忙しい合間をぬって、曲を作ってくれる約束をしてくれました。
こうして、「PRIVATE OPINIONプロジェクト」は、始動することになったのです。


 季節の移り変わる5月、私はスタッフの鈴木とともにオーディションを開始しました。
 今回は、ホームページも開設したことも手伝い、かなりの方がオーデションに訪れてくれました。
 そんな中、まだ漠然としかできていない台本に合うキャラクターをもった人間が集まってきたのです。


「フランク」役の小野坂貴之は、オーディションでこの企画に出ることが決まってからドラム教室に通い始めたドラム初心者でした。
 誰が、この時点であそこまでできる演奏を、予想したのか・・。今になってみると、「縁」とは不思議なものだと感じます。

 今回の舞台は、「男役はみな男前がそろっていた」との感想をよく聞きます。
「ウッド」役の佐々木邦恭も「ショーン」役の平光順一も舞台未経験者でしたが、すごい急成長を見せてくれました。
女の子でも未経験者の「セレナ」役の安島理香は舞台経験などなくても、物語と一緒に人間は成長するんだということを私に見せてくれました。


 常日頃、私は、「芝居はセンスだ」といっています。
でも、「センス」を磨くために、彼女、彼らは惜しみない努力を行ってきました。
それが、本番に現れていたことは、言うまでもありません。


 「タイラー」役の宗形智史だけは、私が見に行った舞台に偶然出ていました。
今思うと、良い拾い物をしたと思います。
台本の段階では、コントシーンは、1/3でしたが、作り上げると2/3がお笑いシーンに変わっていたのは、彼の存在が大きかったからだと思います。
彼が、自分でパ○ティーを買ってこなければ、変○仮面は見れなかったでしょう。
 また、一回りも二回りも大きく成長を遂げた、前回作からのレギュラー陣、そして今回参加の力強い精鋭たちがいなければ、この物語は、生まれなかったと思います。


 「PRIVATE OPINION」とは「個人的な意見」という意味です。
 人間は歳を重ねるごとに、制約に縛られて行きます。
 それは、「労働だったり、お金だったり、結婚や世間体だったり、他人だったり、現実だったり」たくさんのしがらみが生まれ、迫りくる選択肢を選ばなければなりません。
 私もそんな中の一人です。
 そんな中、一番探さなければいけないのは、「本当の自分の声」でした。

 若いころは、「自分には才能がある」、「何歳までには自分は自分の決めた道で出世している」など、「希望という名の、生きる意味」が誰の中にもあったはずです。
 しかし、時間は、それを無謀にも奪って行きます。
歳を重ねるたび、そこに達していなければ、味わうのは大きな挫折感と敗北感だとこの歳になると痛感します。

 よく「流れた時間は取り返せない」と言います。
 しかし、過ごした時間に無駄は無いはずです。
 きっと誰もが、自分ではその事に気付きにくいだけだと思うのです。
 人はみな、「目標」という名の「ゴールライン」を目指し走り、「日常」という名の「岐路」を完走しようとします。
でも、一度ゴールしても、それは通過点であり、また、新しいゴールラインを引いて走り出します。

一度では終わらない人生。

 目標や目指すものがあるのなら「迷い」や「時間」を乗り越えて走り続けていたい・・・
 そんな私の願いが、この物語「PRIVATE OPINION」でした。

           2001年11月27日      雨宮 冬眞
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